インバウンド政策の歴史と課題|今後の動向と観光業で検討すべき対策とは?

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・「インバウンド政策として具体的になにが行われているかわからない」

・「観光業における今後のインバウンド対策の進め方が知りたい」

 

など、インバウンド政策やインバウンド対策について関心を持つ観光事業者の方も多いでしょう。

 

インバウンド需要による経済効果が広まる中、対策を講じていなければ収益機会の損失を招きかねません。

 

本記事では、観光事業者向け予約管理システムの「JTB BÓKUN」を提供する弊社の知見をもとに、インバウンド政策の歴史や課題、今後の動向について解説するとともに、観光業におけるインバウンド対策の例を紹介します。

 

インバウンド政策とは

出典:訪日外国人旅行者数・出国日本人数|観光庁

 

インバウンド政策とは、外国からの旅行者を増やすために、国や自治体が主体となって実施するさまざまな施策のことです。具体的には、法整備や観光事業者向けの補助金・助成金制度の拡充、観光インフラの整備、ビザの緩和などが挙げられます。

 

観光庁が公表している「訪日外国人旅行者数・出国日本人数推移データ」によると、2024年度には訪日外国人旅行者数が3,687万人となり、過去最高を記録しました。

 

新型コロナウイルスの感染拡大による渡航制限の影響で、2022年頃まで落ち込んでいた数値も、コロナ前を上回る水準に到達している状況です。訪日外国人観光客(インバウンド旅行者)による経済効果は、8兆円規模に上っており、観光業でも集客を図るべく、さまざまな対策が実施されています。


関連記事:インバウンド旅行者による経済効果はどれくらい?直接効果・間接効果と今後の課題を解説

インバウンド政策はいつから始まった?歴史について

国主導でインバウンド政策が実施されるようになったのは、2003年にスタートした「ビジット・ジャパン事業」からだといわれています。今後の動向を探るうえで、過去にどのようなインバウンド政策が実施されてきたのかを把握しておくことは、重要なポイントです。

 

以下では、ビジット・ジャパン事業のスタートから、近年にいたるまでのおもなインバウンド政策の概要について解説します。

「ビジット・ジャパン事業」は、2003年に日本政府が開始した観光振興策です。外国人旅行者の受け入れ促進を目的とし、観光庁主導で、観光資源の発信や観光インフラの整備、ビザ緩和などの施策を実施しました。

 

海外での観光地の認知度向上を図るべく、積極的なプロモーション活動を通じて、日本の観光地を国際的にアピールしたのも特徴的な施策です。結果として、訪日外国人観光客数は増加し、日本経済にも貢献しました。

2010年に「観光立国推進基本法」が制定

2010年には「観光立国推進基本法」が制定されました。日本が観光立国を目指すための基本的な方針を定めた法律で、観光産業の成長を促進し、地域経済の活性化や国際的な交流を推進することを目的としています。

 

具体的には、観光資源の整備、観光インフラの充実、観光人材の育成、観光政策の一元化などです。また、外国人観光客の受け入れ環境の改善に加え、日本文化の発信を強化するための施策も含まれています。

2016年に「訪日外国人旅行者受入加速化事業費補助金」が開始

2016年には、「訪日外国人旅行者受入加速化事業費補助金」が開始されました。地方自治体や観光関連企業が、外国人旅行者の受け入れ体制を強化するための設備や、環境整備のために実施する施策に関して、経済的支援を行うための制度です。

 

この補助金制度では、訪日外国人観光客の増加に対応するため、観光インフラの整備や、地域特有の観光資源を活用したプロモーション活動などに対して補助を行いました。

 

とくに、地域ごとの特色を活かし、観光地の魅力を発信するための支援が強化され、地域経済の活性化や観光地の集客力向上に寄与しています。現在では、「インバウンド受入環境整備高度化事業」という名称で、支援を継続しているのもこの制度の特徴です。

 

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インバウンド政策の失敗と課題

インバウンド政策によって、訪日外国人観光客が増加し、大きな経済効果をもたらした反面、各所ではさまざまな失敗・課題が浮き彫りとなりました。具体的には、以下の3項目です。

 

・地域偏在によるオーバーツーリズム

・短期的消費「爆買い」による需要の不安定さ

・観光インフラ・受け入れ体制の遅れ

 

具体的にどのような理由で上記の失敗・課題の発生にいたったのか、背景と影響について解説します。

地域偏在によるオーバーツーリズム

インバウンド政策によって訪日外国人観光客が増加した影響で、観光地では地域偏在によるオーバーツーリズムが発生しています。オーバーツーリズムとは、主要都市や有名な観光地に観光客が過度に集中し、受け入れ環境を上回る人で溢れている状態です。

 

東京・大阪・京都・富士山など、いわゆる「ゴールデンルート」に訪日外国人観光客が集中した結果、騒音やゴミ問題など、地域住民や景観に悪影響を及ぼしました。

 

受け入れ環境の整備

インバウンドによる経済効果を得るためには、まず受け入れ環境を整備することが重要です。たとえば、Wi-Fi環境を整えたり、多言語表示・キャッシュレス決済に対応したりする方法です。訪日外国人観光客が安心して滞在できる環境を整えた上で、集客や販促戦略に取り組みましょう。

短期的消費「爆買い」による需要の不安定さ

インバウンド政策は、大きな経済効果を生んだ半面、短期的消費による需要の不安定さも浮き彫りにしました。

 

富裕層を中心としたいわゆる「爆買い」によって、大幅な収益増になった事業者は多くいます。一方で、円安や新型コロナウイルスの世界的流行など、世界情勢によって大幅な収益減に直面したケースも多く、需要の不安定さが課題となりました。

 

買い物を中心とした収益化の不安定さが浮き彫りとなり、リスク分散や持続可能な事業経営を踏まえた対策が急務となっています。

インバウンド政策による急激な訪日外国人観光客の増加により、観光インフラや受け入れ体制の整備に遅れも指摘されています。

 

公共交通機関での多言語対応やキャッシュレス決済環境の整備、Wi-Fi設置などの対応が不十分で不便との声が上がっているのも現状です。

 

また、オーバーツーリズムに関連して、主要な観光地におけるホテル・旅館などの宿泊施設も不足しており、受け入れ側も対策を急いでいます。そのほか、宿泊業界の人手不足による影響から多言語対応人材も充足していないため、トラブル発生時の対応方法も大きな課題の一つとなっています。

インバウンド政策の今後の動向と観光業における対策例

日本のインバウンド政策は、今後もさまざまな施策の実施が見込まれ、さらなる訪日外国人観光客の増加が予想されています。日本政府は「2030年目標」として、2030年までに訪日外国人観光客6,000万人の達成を掲げました。

 

前述の課題も踏まえ、観光地の多様化や主要都市近隣への周遊促進、持続可能な観光の推進、観光インフラの整備、文化・歴史の発信強化などが重点施策です。

 

以下では、観光業において訪日外国人観光客の増加に対応するために、どのような対策を実施すべきかを具体例とともに解説します。

多言語表記・AI翻訳ツールの整備

インバウンド政策によるさらなる訪日外国人観光客の増加に備えて、観光業では多言語表記やAI翻訳ツールの整備が対策として推奨されています。

 

多言語表記に対応しているオンライン予約サイトを活用していても、現地での応対・接客は直接やり取りを行う必要があるためです。体験・アクティビティ商品を販売する際は、多言語対応の手段をあらかじめ検討しておく必要があります。

FreeWi-Fi・キャッシュレス決済の導入

FreeWi-Fi・キャッシュレス決済の導入も、インバウンド政策に備えるための対応策の一例です。訪日外国人観光客は、スマホで情報収集を行うケースが多く、FreeWi-Fiを求める声が多くあります。

 

公共のFreeWi-Fiの整備も進んでいるものの、自店舗・自施設内でWi-Fi環境を整備すれば、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

 

また、通貨の両替にかかる負担を軽減するため、キャッシュレス決済の導入も求められています。キャッシュレス決済を導入する場合は、訪日外国人観光客が多く利用している決済ブランドに対応することが重要です。

海外OTAの活用

インバウンド対策として、訪日外国人観光客が多く利用している海外OTAを活用する選択肢もあります。OTAとは、「Online Travel Agency(オンライン旅行代理店)」のことです。

 

海外OTAでは、インターネット上で海外の旅行者向けに宿泊施設や航空券、ツアーなどを販売できます。世界中の旅行者から直接予約を受け付けることが可能で、多言語表記やオンライン決済に対応しているものがあるのも特徴です。

 

海外OTAは、アジア圏の集客に強いもの、ヨーロッパ圏のユーザーが多いなど、それぞれに強みがあるため、複数のOTAを組み合わせることで集客効果向上が期待できます。

 

関連記事:OTAとは?訪日外国人観光客の集客に欠かせない海外OTAの種類とメリット

関連記事:インバウンド対策とは?観光事業者が実施すべき施策内容例と成功事例を3つ紹介

観光業のインバウンド対策には「JTB BÓKUN」がおすすめ

観光業でインバウンド対策を実施する場合、海外OTAの活用が欠かせません。複数の海外OTAを組み合わせることで、より多くの訪日外国人観光客にアプローチできる反面、管理負担が増える懸念があります。

 

そこでおすすめなのが、「JTB BÓKUN」の活用です。

 

JTB BÓKUNでは、Viator・GetYourGuideなどを含め、世界各国20社以上の海外OTAと連携できます。連携したすべてのOTAで、販売している体験・アクティビティ商品の在庫状況が即時反映されるため、手作業による在庫量調整を行う必要がありません。

 

ダブルブッキングの回避につながるほか、体験・アクティビティの実施時間直前まで予約を受け付けられるメリットもあります。また、観光事業者同士がマッチングできるマーケットプレイス機能も利用可能です。マーケットプレイス機能を活用すれば、数千社以上ある事業パートナーとのマッチングにより、コラボ商品の創出やタイアップ展開も実現できます。

 

「JTB BÓKUN」について、詳しくは以下の資料をぜひ参照ください。

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