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【事例】Googleマップ活用による観光DX(データマーケティング)とは

はじめに

 スマートフォンの登場から長らく経過し、いまや観光客にとってはちょっとした情報を得るだけではなく、フライト、ホテル、アクティビティや飲食店の予約、翻訳や通訳、もちろん写真撮影やSNSによるコミュニケーションなど、ひとつのデバイスで何でも出来る最重要のアイテムとなっています。

 そうした中、観光で初めて訪れるような不慣れな場所では、Googleマップに代表される地図・経路案内の機能がとても重宝されています。観光客が最寄りの駅や空港へ到着し、目的地までの経路や移動方法を検索し、移動するための公共交通機関への場所を調べ、現地へ移動する。現地では目当ての店舗やランドマークを地図で検索し、画像によるメニューや雰囲気の確認、口コミから評価の確認をした後、予約を行い、経路を表示させつつ目的地へ向かう。これら全てがスマートフォンで完結するのが、現代の観光と言えます。言い換えるならば、観光客の行動データは全て、スマートフォンに蓄積されていると言っても過言ではありません。

観光のデジタル化推進

 一昨年からの新型コロナウィルスの蔓延によって観光業界に多大な影響が出ているのはご承知の通りですが、それ故に進められているのが観光のデジタル化推進による様々な効率化です。観光DXによる目的や効果には、人手不足の解消や情報発信の拡充などがありますが、その中でも特に注目すべきは、ポストコロナ時代を見据えた観光客の誘致とそのためのデータ活用であり、特に人流にまつわるデータを適切に取得・解析し効果的な施策を打ち出すことが、地域の観光活性化には不可欠となります。

 

 では、人流データと地域を結びつけるために必要なものは何か。


 それは、スマートフォンに蓄積された行動データであり、そのデータを取得するために活用できるのが「Googleビジネスプロフィール」です。

Googleビジネスプロフィールとは

 Google検索やGoogleマップ検索を行った際に表示される、店舗や施設の情報。これらは誰でも登録することができます。誰でも登録できるということは、正確な情報が掲載されていない・更新されていないという可能性も生じえます。Googleビジネスプロフィールとは、そうした施設情報を「施設のオーナー」として登録することで、適切で正確な情報を管理することができるサービスです。

 

 Googleビジネスプロフィールでは、施設の情報として住所や電話番号、営業日、営業時間はもとより、写真やお知らせ、施設で運営するWebサイトのURLなどを掲載することができます。また、Google検索やGoogleマップ利用者によって書かれた口コミの管理なども行うことができます。施設を訪れようとする観光客にとって、営業情報は最も知りたいことの一つ。それらが適切に発信できることで、機会損失を避けることや観光客にとっての満足度を高めることに繋がります。またこれらの内容を複数の言語でアプローチすることができるため、外国人観光客にとっても有益な情報源となります。今やGoogleマップは、世界で最も利用される旅行アプリであり、世界12億人(2021年末時点)が利用するアプリですので、訴求効果も大きいです。

 また、施設運営者にとっても観光客にとっても重要なのは、その施設の口コミ情報。言いがかりとも言えるような悪い評価は適切に管理し、良い評価に対してはレスポンスをすることで、施設の評価を高めることにも繋がります。

Googleビジネスプロフィールによるデータ活用

 そうした形で発信した情報に対するアクセス数も、Googleビジネスプロフィールでは閲覧、分析することができます。Google検索やGoogleマップから施設を検索した回数や電話回数、Webサイトへと訪問した数、Googleマップを用いて経路検索をした「ルート検索数」などを確認・分析することができます。

 また、Googleビジネスプロフィールは複数の施設を管理することもできます。自治体やDMOが地域の観光施設や店舗を主導して管理することで、地域の施設情報を一元管理したり、複数施設のルート情報から人流状況を把握することで、観光地全体の人流状況を分析することができます。

Googleビジネスプロフィールの活用事例

 では、実際にGoogleビジネスプロフィールを積極的に運用した地域では、具体的に何を実施し、どのような効果が得られたのか。2021年度の事例として、大阪府および広島県の事例を簡単にご紹介いたします(データ提供:株式会社リーゴ)。


 具体的な取り組みとしては、大きく2つです。一つ目は、店舗情報の登録推進です。登録内容は、住所・営業時間・電話番号・写真・WebサイトのURLなど、とても基本的な内容です。二つ目は、継続的な運用です。具体的には、最新情報等の投稿や口コミへの返信等です。日々お客様対応にて多忙な事業者にとっては、継続的に情報発信・更新することはなかなか大変ですが、非常に重要な取り組みです。いずれもごく当たり前の取り組みに思えますが、当たり前のことを着実に出来るかが大変重要です。


 大阪府のある地域では、域内の26事業者で約4ヶ月間(2021年11月〜2022年3月)の運用による実証を行いました。Googleマップ上の経路検索数において、全事業者の約88%が前年を上回る実績を記録し、全事業者の約77%が前年比120%の増加に繋がりました。


 広島県では広島市を始めたとした県内の16市町で、約4ヶ月間(2021年12月〜2022年3月)運用の実証を実施しました。経路検索数においては、全市町のうち約94%が前年を上回る実績を記録し、全市町の50%は前年比120%増加に繋がりました。


 以上、二つの地域における事例より、Googleビジネスプロフィールの登録・運用(Googleマップ上の情報整備・改善)が「地域全体の集客力を向上させる効果がある」と言えるのではないでしょうか。

Googleマップのこれまでと未来

 そもそもGoogleマップは、2010年代後半から急速な発展を遂げてきました。初期フェーズでは、経路検索、次にスポット情報が充実してきました。そして、2020年前後からホテルやフライトを始め、アクティビティや飲食店などの予約が充実するなど数年間でサービスを拡充し、大きく台頭してきています。ユーザーはGoogleマップ経由で複数のOTAを比較して最安値で予約できるようになっています。しかし現在のトレンドとして、Googleでは直販率を向上させる施策を講じているため、今後はGoogle経由での公式HPからの予約が増加する可能性が高いです。国内の代表的な予約サイトとして、飲食分野では食べログやホットペッパーグルメ、宿泊分野では楽天トラベルやじゃらんnet、アクティビティ分野ではアソビューやじゃらん遊び体験予約などが挙げられますが、もしかするとGoogleのアルゴリズムやD2C市場拡大の波にのまれる時がいつの日か来るかもしれません。


 また、移動における交通状況、現地の混雑状況が、今より遥かに高い精度で分かるようになったり、Google Earthのリアルタイム版のように、今、現地の雰囲気がどうなっているかも把握できるようになる可能性さえもあります。なぜなら、位置情報データに関して、通信キャリアは基地局からデータ取得をしていますが、Googleマップは衛星データからデータ取得をしています。宇宙産業の急速な発展に伴い、この衛星データの取得の質・量共に飛躍的に上がってくると言われているためです。

 

このように、Googleマップの利便性、Google社の存在感はさらに高まり、今後より一層ユーザーが拡大していくでしょう。

まとめ

 Googleマップが今後益々発展を遂げていく中で、地域内における各事業者がGoogleビジネスプロフィールを用いて「旅行者へ正確な情報をリアルタイムに届けること」「口コミの管理をすること(レピュテーションマネジメント)」「公式HP内を充実させること(ブランディング・情報掲載・予約導線確保など)」が非常に重要です。

 また自治体・DMO/観光協会の方々においては、地域事業者の先頭に立って上記のような事業者のデジタル化を推進していくと共に、複数施設の人流状況を把握・分析による観光地全体のデータマーケティングにより、地域への誘客に向けた新たな戦略策定・PDCAサイクルを確立していくことが、今求められている持続的な観光地域づくり推進への第一歩と言えます。地元の事業者の方々を巻き込み、地域一体となって稼げる観光地を目指しましょう。


簡単な導入と継続的な運用で、大きな経済効果へと繋げることが出来るGoogleビジネスプロフィール。ぜひご活用をご検討ください。

おわりに

 以上、Googleマップを活用した観光DX(データマーケティング)について事例のご紹介でした。皆様の地域における今後の取り組みへの一助になれば幸甚です。

 ※情報は事前の告知なく変更になることがございます。上記にご案内した情報は必ずご自身でご確認の上、ご自身の責任の上、ご活用ください。

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