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観光資源に付加価値を与えるコンテンツツーリズム成功のカギ

更新日:2023.12.28

最近の旅行者の動向として、有名観光地を回る旅行から、テーマのある旅へと嗜好の変化が見られます。定番の観光スポットよりも、自分が価値を感じるニッチな場所を訪れ、SNSでシェアして仲間と想いを共有するといった新しい旅の楽しみ方のきっかけになるのが「コンテンツツーリズム」です。

コンテンツツーリズムとは

映像や文学などの作品にかかわる場所を訪れる旅を総称して「コンテンツツーリズム」と呼びます。


映画のロケ地めぐりや大河ドラマの撮影地での町おこしなどは以前からありましたが、アニメ・マンガなど従来はニッチな趣味であったオタク文化がポップカルチャー化した2000年代後半から、「聖地巡礼」と呼ばれるゆかりの地めぐりが盛んになりました。


国土交通省・経済産業省・文化庁が2005年に発表した「映像等コンテンツの制作・活用による地域振興のあり方に関する調査」の中で、コンテンツツーリズムは“地域に関わるコンテンツ(映画、テレビドラマ、小説、まんが、ゲームなど)を活用して、観光と関連産業の振興を図ることを意図したツーリズム”と定義されています。(P48参照)

フィルムツーリズム、シネマツーリズム、聖地巡礼との違いとは?

映画、ドラマなどの撮影地を訪れる「フィルムツーリズム」「シネマツーリズム」。

アニメ・マンガの舞台をめぐる「聖地巡礼」。


これらは全て、コンテンツをきっかけとした旅行行動で、コンテンツツーリズムに含まれるものです。


従来の「フィルムツーリズム」「シネマツーリズム」「聖地巡礼」との違いは、これまでゆかりの地めぐりは自発的に行うファン行動の一つであったのに対し、「コンテンツツーリズム」はコンテンツを活用した観光誘致を行う意味でも使われているということ。


2013年に観光庁・経済産業省・日本政府観光局・日本貿易振興機構が合同で発表した「訪日外国人増加に向けた共同行動計画」の中にも“クール・ジャパンコンテンツから想起される観光地(総本山、聖地)への訪日を促す”(P2参照)という文言があり、コンテンツを観光資源として積極的に活用しようという方針が見られます。

コンテンツツーリズムがもたらす効果

コンテンツと絡めた観光施策が地域にもたらす効果には以下のようなものがあります。

客単価の上昇

観光庁「テーマ別観光による地方誘客事業<取組事例集>」に挙げられている事例では、埼玉県で行ったアニメ聖地モニターツアーのモニターの1日当たりの平均消費額が、全国籍・地域の1泊当たりの旅行中支出平均額を上回ったことが記されています。

一般的に作品のファンは関連商品への出費を惜しまない傾向があり、さらに「そこでしか買えない・今しか買えない」といった限定価値をもたせることも効果的な集客につながります。

地域資源の再評価

作品の舞台となったり、作中で登場人物が使用したりすることで、これまで注目されていなかった地域の資源が突然脚光を浴びることがあります。「〇〇の聖地」として知られることで訪れる人が増え、さらにその体験がシェアされて、これまで眠っていた観光資源に価値が生まれ、評価されるチャンスが生まれるのです。

地域への愛着が増す

地域が注目を浴び高く評価されることで、住民が居住地を肯定するきっかけとなり、地域が活性化するメリットもあります。また、コンテンツをきっかけに訪れた観光客がリピーター化したり、何度も訪れるうちに気に入って移住したりするケースも増えているようです。

コンテンツツーリズムを成功させるための課題

コンテンツツーリズムは地域の観光に変化をもたらすもの。円滑に進めるためには、変化を受容する体制づくりが必要です。

住民の理解を得る

これまで観光客があまり訪れることのなかった場所が聖地化すると、受け入れ体制が整わないまま多くの観光客が押し寄せることも起こり得ます。

作品の中で描かれた風景は、実際は住民の生活の場であることも少なくありません。

コンテンツツーリズムは、どのような方針で受け入れを行うのか住民と協議した上で慎重に進める必要があります。

客層の変化に備える

作品のファンの旅行行動を促すコンテンツツーリズムでは、作品のターゲットによりますが、従来の客とは異なる層の訪問が増加することになるでしょう。既存客と新規客とのバランスを測り、効果的なブランディングを行っていく必要があります。

コンテンツツーリズム成功事例

各地でコンテンツツーリズムが盛り上がりを見せる中、一過性のブームで終わることなく、持続的な集客につながっている成功事例を紹介します。

大洗市×『ガールズ&パンツァー』

戦車で戦う武道「戦車道」の全国大会優勝を目指す女子高生を描いたアニメ『ガールズ&パンツァー』の舞台・茨城県大洗市。作中で描かれた神社や旅館が実在するだけではなく、まちなかにはキャラ看板が並び、常設のコラボカフェやギャラリーも。

大洗市の冬の風物詩「大洗あんこう祭り」も、アニメが放映された2012年からコラボを行い、来場者が激増したことが知られています。

飛騨高山×『氷菓』

『氷菓』は、古典部に所属する高校生男女4人が日常の様々な謎を推理するミステリー。

2012年にアニメ化、2017年11月に実写映画が公開されました。

観光協会の舞台探訪マップには、20以上もの聖地をアニメの登場話数とともに紹介。これにより観光客の行動範囲が観光地の中心である「古い町並」周辺だけではなく広範囲に広がりました。十六銀行によると、『氷菓』の聖地巡礼がもたらした経済効果は21億円にのぼるとのことです。

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まとめ

メディアの発達でコンテンツの拡散が容易になった現代において、コンテンツツーリズムの持つ可能性はますます広がっていくことでしょう。作品を契機に地域の魅力を再発見することは、観光創出だけではなく地域活性化にもつながります。

参考文献:

国土交通省、経済産業省、文化庁”映像等コンテンツの制作・活用による地域振興のあり方に関する調査".2005-3

https://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/souhatu/h16seika/12eizou/12eizou.htm

(参照 2022-3-3)


観光庁、経済産業省、日本政府観光局、日本貿易振興機構” 訪日外国人増加に向けた共同行動計画”.2013-6-20

https://www.jetro.go.jp/news/releases/20130620382-news/actionplan.pdf

(参照 2022-3-3)


観光庁” テーマ別観光による地方誘客事業<取組事例集>”.2021-3

https://www.mlit.go.jp/common/001281778.pdf

(参照 2022-3-3)


ガールズ&パンツァーは、株式会社バンダイナムコアーツの登録商標です。

「氷菓」©米澤穂信・角川書店/神山高校古典部OB会

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