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【事例】訪日インバウンド観光客の集客に向けた飛騨高山の取組

2022年10月11日より、1日当たりの入国者数の上限撤廃、および訪日外国人観光客における個人旅行の解禁、そしてビザ(査証)免除など、これまで実施してきた新型コロナウイルスにおける水際対策が大幅に緩和しました。併せて、国土交通省観光庁は「全国旅行支援」を同日10月11日からスタートし、観光需要の喚起を目指します。岸田総理大臣は9月22日夜の会見で「コロナ禍で苦しんできた宿泊業、旅行業、エンタメ業などを支援したい」と話し、観光産業の本格回復に期待が高まります。

 

そこで今回は、岐阜県高山市の訪日需要の喚起、および訪日インバウンドの集客アップを目指すハッピープラス株式会社の代表取締役「山腰  陽一郎」様にお話をお伺いし、高山市の魅力を体験できる商品の造成、売上拡大に向けたオンライン販売の強化、さらには業務の効率化を達成した事例をご紹介します。

山腰様はハッピープラス株式会社を2019年に設立し、高山市内の観光資源の活用、着地型及び体験型ツアーの実施、最新のIT技術を活用したPR活動により、日本人観光客は元より訪日インバウンド旅行客への高山市の認知度を向上させ、高山市のファン増加に取り組んでいます。また現在は、旅行業だけでなくIT事業など、幅広いビジネスを手掛けます。

取材に応じてくださった方

ハッピープラス株式会社

代表取締役 山腰 陽一郎(ヤマコシ ヨウイチロウ)様

公式HP:ハッピープラス株式会社(https://happy-plus.co.jp/)

所在地:岐阜県高山市上二之町22


地域紹介

高山市は、岐阜県北部に位置する山岳都市です。古い町並みが残るさんまち通りの狭い通りには、数多くの小さな博物館や、江戸時代にさかのぼる木造の商家が並んでいます。春と秋に開催される高山祭は、1600 年代半ばに始まった歴史あるお祭りで、「屋台」と呼ばれる豪華な金色の山車とからくり人形が呼び物です。

訪日インバウンド復活に向けた期待感

ー  まずは、高山市の魅力についてお伺いさせてください。

山腰氏

1つ目は「伝統文化と歴史」です。他の地域との違いは、酒蔵が200m以内に7蔵あることです。風情ある城下町の中で酒蔵巡りを楽しむことが出来るのは、ここ飛騨高山だけです。また、国の「無形文化財」にもなっている「高山祭り(春祭り・秋祭り)」の当日は多くの地元民・観光客で賑わいます。屋台(山車)が非常に豪華で、地元民もお祭りが大好きな方が多いため数百年語り継がれる由緒あるお祭りであり、「高山祭の屋台行事」を含む「山・鉾・屋台行事」はユネスコ無形文化遺産登録もされています。屋台のデザインはひとつひとつ異なり、各地域で魅力を維持・継承・管理しているため、地域の人々の誇りと拘りが詰まっています。

2つ目は「立地」です。山岳地帯に位置することから、東京・大阪からも来づらく辺鄙(へんぴ)な場所ではありますが、高山駅からメイン通り「古い町並み」まで徒歩10分程度のため、気軽に食べ歩きやお買い物などの観光が可能になります。自然豊かで水が綺麗であるからこその、美味しいグルメ(日本酒や飛騨牛など)を堪能できる地域です。 

ー  地域における、旅行者の特長や動向はいかがでしょうか?

山腰氏

全国旅行支援の効果もあり、先行予約も含め観光客が非常に増えてきました。また、訪日インバウンドにおいても、欧米豪の方々を中心として大幅に回復してきている印象です。 コロナ前は年間470万人のうち68万人ほどが外国人であり、うち中国や香港・台湾 からの旅行者が一番多かったです。コロナ前でさえ外国人比率が約15%程度だったため、今後の訪日回復による更なる観光客増加に期待です。

ー  地域と連携した観光振興への取り組みを教えてください。

山腰氏

現在は、観光コンベンションや商工会議所に所属し、会合にも参加しております。また高山市役所とも連携しながら観光振興に向けて取り組んでおります。具体的には、海外のAGTとの商談会を実施しました。コロナ禍のためリモート実施ではありましたが、多くの国・地域の方々に魅力を発信したいため、国は縛らず情報発信に努めました。やはり自分のこと(自社の利益)だけを考えていたらダメなので、地元の方々との協力し合い、地域一体となって取り組んでいくことが最重要だと痛感しています。

ー  現在の地域課題、および積極的に行っている取組はありますか?

山腰氏

日帰りまたは通過型観光客が多く、宿泊客が獲得出来ていないことは大きな課題だと認識しております。日本人も外国人観光客も、朝イチで高山に移動し、お昼ご飯を食べて、酒蔵ツアーやお土産購入など観光を楽しみ、夕方に宿泊先として松本や金沢に抜ける方も多く、特に旅行会社のバスツアーでは日帰り旅行として企画されることが大半です。やはり地域としては、1泊でも宿泊して地域にお金が落ちる仕組みが必要だと思います。その中で、朝や夜の魅力創出に向けた取り組みとして、「朝市」や「ナイトツアー」の取り組みも実施しております。滞在時間を伸ばすための魅力創出に、今後もより一層取り組んでいきたいと思います。

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  • 海外OTAでの販売における販路拡大と業務効率アップ!

    ー  山腰様の事業における、旅行者の特長や動向を教えてください。

    山腰氏

    現在、高山の街歩きツアーや、酒蔵ツアー、利き酒体験など多くのツアーを販売しております。特に訪日外国人向けに販売をするため、海外OTA(具体的にはviatorなど)も積極的に利用しています。地域の観光客増加と同様、先行予約もかなり増えてきました。中国における海外旅行規制の影響もあり現在は欧米豪の国々の方々が中心で、人気商品は「酒蔵巡り」など街歩きのツアーです。近場で気軽に楽しめるのが大きな要因です。また少し足を伸ばした「白川郷の日帰りハーフデイツアー」も人気です。

    ー  「JTB BÓKUN」を認知したきっかけはなんでしょうか?

    山腰氏

    コロナ前、「より間口を広げて販売したい」「複数の海外OTAを管理できるシステムがないか」と考えていた際、ちょうどトリップアドバイザーからダイレクトメールが届き「Bókun」のご案内がありました。まさにこれは求めていたシステムだということで、トリップアドバイザーのBókunを使用することにしました。そんな中、2021年にJTBさんがBókunの営業権を持ち、「JTB BÓKUN」としてサービス展開するという記事を見つけお問合せしました。JTBさんが取り組んでいることは心強いと思いましたし、タビナカのプラットフォームに着手するJTBさんはさすがだなあと思いました。

    JTB BÓKUNとは

    JTB BÓKUNは、グローバル市場に対応した観光協会・DMO・体験事業者向けの予約・在庫管理システムです。

    資料ダウンロードはこちらから。


    自治体や観光地域づくり法人(DMO)などの体験アクティビティ事業者向けのオンライン予約システム。自社ホームページで販売できる他、事業パートナーと提携した相互販売、グローバルOTAを活用するなど、さまざまな流通方法で新たな顧客層の開拓、および販路拡大ができる。予約販売をオンライン化することによって業務の効率化の実現も可能。また、各流通先の予約・在庫が一括管理できるので、各社に専用在庫を提供する必要がなくなり、売れ残りのリスクも軽減。電話予約や現地受付などのオフライン予約も含めた予約販売データの収集・分析も可能で、商品の開発やブラッシュアップにも活用できる。

    ー  「JTB BÓKUN」を導入する決め手はどのようなところにあったのでしょうか?

    山腰氏

    3つ理由があって、まず1つ目は、多くの海外OTAとの連携に大きなメリットを感じました。特にviatorとのシステム連携がスムーズであり、予約・在庫が一元管理出来るため手間がないです。これから益々利便性が上がることに期待しています。2つ目はAPIが公開されている事です。弊社はIT事業もこのコロナ禍で初めましたが、日本国内のOTAとの接続や社内システムとの連携に重宝しています。3つ目は、JTBさんによるサポートです。やはり日本語のサポートはとても安心ですので、大きな決め手になりました。

    コロナ禍の厳しい状況の中でも、前向きにチャレンジ

    ー  約2年半、非常に厳しい状況が続きました。コロナ禍の影響について「苦しかったこと」を教えてください。

    山腰氏

    最も大変だったのは、所属ガイドのモチベーションやサービスレベルの維持です。やはりコロナ禍で仕事が激減したため、将来への不安、そして実践の機会が減ることによるレベル低下が顕著でした。また、他の職業につき、すぐには戻ってこないという人材不足も実情として深刻です。そのため、定期的にガイド講座・勉強会の開催やコンタクトを取ることにより、解決を図っております。ただし、旅行は回復傾向ではあるものの2019年のコロナ前のレベルには達していないため、もう少し様子を見ながら辛抱強く取り組みを継続する必要があると感じております。

    ー  コロナ禍でも、新たに出来たこと、積極的に取り組んだこと等を教えてください。

    山腰氏

    元々インバウンドをターゲットとして事業展開しておりましたが、コロナの影響により全く来なくなってしまったため、日本人へのサービス提供にも舵を切りました。また、旅行業だけでなく、ITサービスへの事業展開も始めました。今後益々重要になってくるIT事業に、このタイミングで着手できたことは大きな意味があると考えております。

    ー  コロナ禍を通して感じた変化、貴社や地域にとって観光DXの課題や重要性を教えてください。

    山腰氏

    コロナを経て、タビナカにおいてオンラインで予約できる重要性を改めて感じました。zoomなどオンラインツールの普及にてデジタル化が加速したとは言わずもがなです。国内市場においては、少子高齢化によるマーケット縮小は顕著なので、インバウンドを獲得していかないと地域の活性化もなかなか難しいと思います。その中で、訪日インバウンド市場においてはポテンシャルも高く、FIT化が加速していくなかで、海外OTAを活用した販路拡大に取り組むことが重要だと考えます。そのため、JTB BÓKUNのような予約在庫一元管理のサービスが、今後益々注目されていくと考えます。

    ー  最後に、貴社の今後の展望を教えてください。

    山腰氏

    まずはコロナ前の状況まで戻したいです。具体的には、ガイド育成に取り組み、少なくとも10人ほど人員を確保して毎日ツアーを回して行きたいです。人材確保とレベル維持向上を通して、日本人はもちろん訪日外国人観光客に対して高山地区の魅力発信に取り組んでいきたいです。また地域全体として観光産業を盛り上げるため、引き続き地域の方々と連携して観光振興に努めていきたいと思っています。

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  • まとめ

    今回はハッピープラス株式会社の山腰社長に、岐阜県高山地区の活性化に向けた取り組みをお伺いしました。訪日インバウンドのポテンシャルや期待感、集客・管理の具体的な手段についても貴重なお話を聞くことが出来ました。

     

    この記事が、今後訪日インバウンドの集客を考えていきたい、検討はしているが何に取り組んでいくべきなのか分からない、そんなお悩みを抱える自治体やDMO、体験事業者のみなさまの参考になれば幸いです。

    JTB BÓKUNについて


    JTB BÓKUNは、グローバル市場に対応した観光協会・DMO・体験事業者向けの予約・在庫管理システムです。

     主な機能:

    • 自社ホームページでの体験商品の販売
    • ユーザー同士での体験商品の相互販売
    • 海外OTA(Viator、KLOOK、GetYourGuideなど)との接続
    • 体験商品の予約・在庫の一元管理(チャネルマネージャー)
    • 販売データおよび顧客データの分析
    資料ダウンロード

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